通関情報調査室

AEO輸出者ではたらく、元通関士のブログ Former REGISTERED CUSTOMS SPECIALIST

輸出申告したとき税関は何を審査しているか?

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輸出通関は通関業者にすべてお任せですか?税関が何を審査しているか知っていますか?

税関の事務処理体制は決まっていて、そこにやることが書いてあるんです。そこから要点だけまとめました。大事なのは青色紫色の文字のところだけです。
「システム導入官署における輸出通関事務処理体制について (蔵関第 243号 平成12年3月31 日)」より

大まかな流れを知っているだけでも、実務で慌てることが減ると思いますよ。
これは、輸出通関をスムーズに行うための前提知識です。

まずは、基本的な審査方法について

このあたりは皆さんよくご存じ「審査区分の選定と種類」

NACCSシステムを使用して輸出申告すると、NACCSにより申告内容が審査され、審査区分が自動的に選定されます。

審査区分は3種類です。

  1. 区分1(簡易審査扱) NACCSによる審査の結果、輸出許可とされたもの
  2. 区分2(書類審査扱) 書類審査を要するもの
  3. 区分3(検査扱)   検査(貨物確認及び書類審査を含む)を要するもの 

区分2、区分3の場合の「審査方式と受付管理事務」

審査は、「重点審査」又は「一般審査」の2方法。次の受付管理事務を行います。

  • 添付書類の有無の確認
  • 重点審査扱い又は一般審査扱いの決定
  • 審査区分の選定結果の変更の要否判定
  •  貨物確認※の要否決定
     ※他法令の該非確認、統計品目分類、知的財産侵害物品の認定等輸出申告についての適正な審査を行うために行う

ここがキモ!審査事務

審査方法

必要申告事項並びに必要添付書類の有無及び有効期限等に関する審査する。

その後、

  • 関税等の減免戻税条件の具備
  • 他法令による輸出規制
  • 統計品目分類
  • 数量・価格等に関する疑義

の発見と解明を中心として審査を行う。 

輸出貿易管理令別表第 1 及び別表第 2 の該非判定が困難なものについては、統括官→特別審査官→経済産業省に該非の判定を照会することがある。 

「重点審査」となるのは、区分2又は区分3のうち

  • 各種情報を総合的に勘案し抽出した申告
  • 輸出令別表第1又は別表第2の該非に疑義がある貨物に係る申告

この場合、前記⑴及び⑵に準じて審査を行うほか、必要に応じ判定システム※、各種資料・情報を活用し深度ある審査をする。 

※通関情報総合判定システムのことを指していると思われる。
 通関情報総合判定システムは、輸出入申告等の実績に加えて、輸出入申告等の審査、検査結果、非違実績、事後調査結果等を蓄積、不正輸出入の可能性の高い(ハイリスク)貨物、要注意人物等を選定

審査実施上の留意事項

 審査の過程において、以下の場合は処理方法が変更となることがある

  • 問題が複雑又は困難なため審査終了までに長時間を要する
  • 一般審査扱いとしていたが申告内容等から重点審査を行う必要がある
  • 区分 3 となっていないものについて貨物確認を行う必要がある
  • 検査方法等を変更する必要がある

検査のやり方「貨物確認」について

  1. 他法令の該非の確認、統計品目分類、知的財産侵害物品の認定等輸出申告についての適正な審査を行うため、貨物と申告内容との同一性の確認等必要な貨物確認を十分に行う
  2. 貨物確認の場所は、貨物の形態等により判断される。
    ・税関検査場へ貨物の搬入が物理的に困難などの場合 →  貨物の設置場所
    ・税関検査場へ貨物を搬入させることが容易な場合 → 税関検査場
    ・少量の見本確認でも支障ない場合 → 見本確認を活用
  3. 貨物確認を実施する際は、輸出者又は通関業者の立会いを求める。 

基本的に通関業者もこの内容に則した対応をしています。

重点審査になってしまうと面倒ですね。税関は一般審査か重点審査かを通関業者に教えてくれないと思いますが、税関からの問合せの雰囲気で予想がつくかもしれません。

いずれにしても、関係する書類は手を抜かずに準備しておきましょう。税関に言われたら準備する、では絶対ダメです。  

通関業者が輸出申告までに何をしているかはこちらにまとめています。