なぜ通関士になったのか。
きっかけは、航空貨物を扱うフォワーダーに内定したことだった。学生時代から通関士という国家資格があることは知っていた。書店にいくのが好きで、通関士試験のテキストがおいてあるのをよく目にしていたからだ。
内定が出たのは大学4年の4月頃。内定後ある程度自由な時間はある。まぁ、勉強して損はないだろうという軽い気持ちで、10月の通関士試験に向けて勉強を始めた。
通関士試験の受験願書は7月頃に配布される。私の地元は、漁港のある街だったので、港に小さな税関の出張所があった。そこに直接願書をもらいに行った。通関士試験を受験しようとするまで、地元に税関があるなんて知らなかったし、税関に出向くのもそのときが初めてだった。税関職員の方から、がんばってくださいと言われた記憶がある。
試験勉強は、市販のこのシリーズのテキストと問題集を買って独学した。
出る順通関士 必修基本書〈2004年版〉 (出る順通関士シリーズ)
このシリーズは古すぎて、もう売っていない。なつかしい。
はじめて見る堅苦しい用語がたくさん出てきて、読み方すらわからなかった。
保税蔵置場は、ホゼイ ク・ラ・オ・キ・バ???と読んでいた。本当はほぜいぞうちじょうなのに。こんな感じでよく分からないながらも、テキストや問題集に書いてあることを、とにかく勉強していった。
試験問題で覚えているのはただ一つ、実務パートで出た豚肉の問題。当時ちょうど豚肉の差額関税制度を悪用する会社が摘発されているような時期だった。
自己採点では、受かるかどうか五分五分という感触だった。結果合格だったのだが、合格証が届いたら、自分の名前の漢字が間違っていた。官報に載った名前も間違っていた。
すぐに税関に連絡して、正しい漢字の合格証を送ってもらった。そのとき同封されていた通関業監督官のお詫びの文書はいまだに残してある。押印はされていなかったので、少しなめられていたかもしれない。
名前の漢字を訂正せずに放置していたら、通関士の確認*1をとるときどうなったんだろうと思う。本人の確認に、かなり手間取ったんじゃないか。
フォワーダーへの入社後は