前回の記事 関税関係法令を学ぶ |その2 関税三法 の続き
関税三法の下位法令について です。
法令の階層
法令を使いこなすには、階層(上下関係)の理解が必要です。
税関HPの所管法令等一覧には、法律、政令、省令、告示、通達、ガイドラインが掲載されています。このうち(厳密な意味での)法令は、法律、政令、省令の3つを指します。そのほかに、告示、通達、ガイドラインが存在します。位置づけは次のとおりです。
一般の人に対するお知らせ。
大臣などが、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができるとされている。
上級官庁から下級官庁や職員に対する命令、指示、注意。
大臣などが、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができるとされている。
税関HPには3つのガイドライン(相殺関税、不当廉売関税、緊急関税等に関する手続き等について)の掲載がある。これらはいずれも法令に定められている制度の運用を補完し、制度の円滑な運営に資するためのもの。ガイドラインの適用については、個々の事案ごとに柔軟かつ弾力的な対応を妨げないとされている。
告示、通達は、法令ではなく(直接的に国民の権利義務に関わるものではなく)、これらを遵守しないことによって処罰を受けるものではありません。
しかし、告示で輸出統計品目表及び輸入統計品目表の改正(HSコード改正が反映)されたり、通達で法令の解釈や具体的手続きがわかったりします。実務では、法令よりも通達を確認することのほうが多いです。品目分類に使用する関税率表解説、分類例規についても通達で扱われます。
通関業務や保税業務で手続き上のミスが生じたときに、税関は「非違」と「誤謬」という用語でその重大さを区分します。しかし、「非違」と「誤謬」の明確な定義は見たことがありません。法令に触れるものは非違(illegal:法の規定に違反する行為)、告示または通達に関するものは誤謬(mistake)ということになっているのでしょうか???
関税三法と下位法令・通達の読み方
関税三法は、下位法令・通達との関係がわかりやすく、主要な部分は次のような構造・名称になっています。
- 法律 関税〇〇法
- 政令 関税〇〇法施行令
- 省令 関税〇〇法施行規則
- 通達 関税〇〇法基本通達
関税三法とその施行令、施行規則、基本通達によって通常業務のほとんどはカバーでされます。法令の規定には、法第○条とか、令第○条、規則第○条と参照する法令の条文番号が記載されていることがあります。読み解く際には、法、令、規則が具体的にどの法令を指しているか(関税○○法のどれか)を間違えないように注意してください。
通達は、基本通達に個別通達もあります。通達には基本的に法律の条文番号に対応した番号が付いているので、この番号を活用できます。具体的には、次のとおりです。
赤枠内、『関税法基本通達』の「7-1~7の17-1」は関税法第7条~第7条の17に対応することを示しています。『特例輸入者の承認要件等の審査要領について』の「7の5、51、62、63の4、67の6、67の13、79」も同様に対応する関税法の条文番号を示しています。