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関税関係法令を学ぶ |その2 関税三法

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前回の記事 関税関係法令を学ぶ |その1 法律概観 の続き
関税三法(関税法、関税定率法、関税暫定措置法)について です。

関税三法の概要

法律の第1条に法律の趣旨が書かれています。

関税法は、税法であるとともに、貨物の輸出入についての通関法としての性格があるとされています。関税定率法には、関税の税率、課税標準、関税の減免等が定められており、関税法と合わせて関税制度の根幹をなしています。関税暫定措置法によって関税率を調整されるものがあります。

関税法

この法律は、関税の確定、納付、徴収及び還付並びに貨物の輸出及び輸入についての税関手続の適正な処理を図るため必要な事項を定めるものとする。

関税定率法

この法律は、関税の税率、関税を課する場合における課税標準及び関税の減免その他関税制度について定めるものとする。

関税暫定措置法

この法律は、国民経済の健全な発展に資するため、必要な物品の関税率の調整に関し、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)及び関税法昭和二十九年法律第六十一号)の暫定的特例を定めるものとする。

関税三法の図解

関税三法の関係を図にすると次のようになります。

関税三法の目次

関税三法の内容をさらによく理解するには、目次を見るのが効果的です。

  • 関税法は、章建てになっていて、法律に目次が設けられています。
  • 関税定率法、関税暫定措置法は、章建てにはなっておらず、法律に目次は設けられていません。この記事では参考として目次をまとめました。

法律を制定する際、目次を設けるかどうかは法律が章建てになっているかどうかが、一つの基準になっているそうです。*1

目次を見ることで、自分の業務に関係しない条文があることもわかってきます。必要な条文にたどり着けるようになればよいので、目次そのものを記憶する必要はありません。

関税法

第一章 総則
 第一節 通則(第1条・第2条)
 第二節 期間及び期限(第2条の2・第2条の3)
 第三節 送達(第2条の4)
第二章 関税の確定、納付、徴収及び還付
 第一節 通則(第3条―第6条の3)
 第二節 申告納税方式による関税の確定(第7条―第7条の17)
 第三節 賦課課税方式による関税の確定(第8条)
 第四節 関税の納付及び徴収(第9条―第11条)
 第四節の二 附帯税(第12条―第12条の4)
 第五節 その他(第13条―第14条の5)
第三章 船舶及び航空機(第15条―第28条)
第四章 保税地域
 第一節 総則(第29条―第36条)
 第二節 指定保税地域(第37条―第41条の3)
 第三節 保税蔵置場(第42条―第55条)
 第四節 保税工場(第56条―第62条)
 第五節 保税展示場(第62条の2―第62条の7)
 第六節 総合保税地域(第62条の8―第62条の15)
第五章 運送(第63条―第66条)
第六章 通関
 第一節 総則(第67条・第67条の2)
 第二節 輸出申告の特例(第67条の3―第67条の18)
 第二節の二 輸入申告の特例(第67条の19)
 第三節 提出書類及び検査手続(第68条―第69条)
 第四節 輸出又は輸入をしてはならない貨物
 第一款 輸出してはならない貨物(第69条の2―第69条の10)
 第二款 輸入してはならない貨物(第69条の11―第69条の20)
 第三款 専門委員(第69条の21)
 第五節 輸出又は輸入に関する証明等(第70条・第71条)
 第六節 輸入の許可及び輸入貨物の引取り等(第72条―第74条)
 第七節 外国貨物の積戻し(第75条)
 第八節 郵便物等に関する特則(第76条―第78条の3)
第六章の二 認定通関業者(第79条―第79条の6)
第七章 収容及び留置(第80条―第88条)
第七章の二 行政手続法との関係(第88条の2)
第八章 不服申立て(第89条―第93条)
第九章 雑則(第94条―第108条の3)
第十章 罰則(第108条の4―第118条)
第十一章 犯則事件の調査及び処分
 第一節 犯則事件の調査(第119条―第143条)
 第二節 犯則事件の処分(第144条―第149条)

関税法 | e-Gov法令検索

関税定率法(参考用)

第1条・第2条 総則
第3条―第3条の3 課税標準及び税率
第4条―第4条の9 課税価格
第5条 便益関税
第6条―第9条 特殊関税
第9条の2 関税割当制度
第10条―第20条 減免戻し税
第20条の2・第20条の3 軽減税率
第21条 外国とみなす地域

関税定率法 | e-Gov法令検索

関税暫定措置法(参考用)

第1条 趣旨
第2条 暫定税率
第3条 国際関係の緊急時に特定の国を原産地とする物品に課する関税率
第4条 減免税・還付(航空機部分品等)
(第5条―第7条の2 削除)
第7条の3―第7条の6 特別緊急関税等
第7条の7―第7条の10・第9条の2・第12条の4・第12条の5 経済協定等に基づく関税
第8条 減免税・還付(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品)
第8条の2―第8条の5 特恵関税等
第8条の6 関税割当制度
第8条の7 減免税・還付経済連携協定に基づく加工又は修繕のため輸出された貨物)
第9条 軽減税率
第10条―第12条 用途外使用等
第12条の2・第12条の3 更正の請求等
第13条・第14条 沖縄に係る特例
第15条 税関職員の権限
第16条―第18条 罰則
第19条 犯則事件の調査及び処分

関税暫定措置法 | e-Gov法令検索

次の記事では、関税三法の下位法令を見ていきます。

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