通関情報調査室

AEO輸出者ではたらく、元通関士のブログ Former REGISTERED CUSTOMS SPECIALIST

身近なもののHSコード| Tabioの靴下

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ビジネスソックスはすべてTabioにしています。

これをネタに、通関士が仕事に使う情報や雑学を少々まとめます。  

わたしがTabioの靴下を買っている理由は

  • シンプルしかも日本製
  • 店舗でもネットでも購入しやすい
  • 素材へのこだわり、機械へのこだわりが感じられる からです。

以前に比べると値上がりした感はあるのですが、このYouTubeを見ると十分納得できる価格です。寿命は3か月なのだそうです。でも、実際は数年履けます。

HSコードの検討(税関事前教示風)

  • 貨物概要 綿製編地の靴下 
  • 性状  クルー丈(つま先からふくらはぎ下を覆う丈)の靴下
  • 材質  綿 62%、ナイロン 35%、ポリウレタン 3%
  • 用途  紳士用のビジネスソックス
  • サイズ 25.0cm~27.0cm
  • 包装  1足/紙帯
HSコード

6115.95-000   ソックス 綿製のもの 

本品は、その性状及び用途から、関税率表第61.15項及び同表解説61.15項により、綿製メリヤス編みのソックスその他の靴下類として上記のとおり分類する。

通関士の雑学

生地について

生地には、織物、編物、不織布があります。※通関士からすると常識ですね。

織物はジーンズに代表されるような、たて糸とよこ糸を組み合わせて作る布。
したがって繊維自体に伸縮性がある場合以外は、ほとんど伸び縮みしない生地になります。

編物は基本的に糸でループを作りながら、らせん状に編んでいくことで生地を作ります。だから編物には伸縮性があります。編物といえばセーター等が思い起こされますがあまりお気づきではないかもしれませんが、Tシャツなども編物の生地を裁断し縫製したものですから、若干の伸縮性があります。

https://tabio.com/jp/dictionary/about/

メリヤス編み又はクロセ編みについて

関税分類のとき、メリヤス編み又はクロセ編みという用語が出てきます。靴下は、通常丸編機で作られる編物です。それでは、メリヤス編み、クロセ編みとはいったい何なのでしょうか?

メリヤス編み(英文ではknitted)= ニットです。そして実は、メリヤスの語源となるスペイン語・ポルトガル語には、靴下という意味があるのです。

クロセ編み(crocheted)は、かぎ針編みのことでありフランス語に語源があります。編み目が荒く、模様がはっきりと見えるのが特徴のようです。メリヤス編み(knitted)とは、構造や技法の違いによって区別されていますが、日本語では『編む=組み合わせてひとつの物を作る』という大きな意味合いで使われることが多いため、そこまで明確に分類はされていないようです。関税分類上もメリヤス編みとクロセ編みを明確に区別する場面はないように思います。

素材の混合について

靴下は、綿や麻、絹、毛といった代表的な表糸にナイロン、ポリウレタンという裏糸を一緒に編み込みます。靴下にほど良いフィット感をあたえ、耐久性を上げるために、裏糸を一緒に編み込むのだそうです。

二以上の紡織用繊維から成るものの分類は、構成する紡織用繊維のうち最大の重量を占めるもののみから成る物品とみなしてその所属を決定します(関税率表解説 第11部注2(A)、号注2(A))*1。よって、今回の靴下の場合は綿製として分類することになります。

原産国について

Tabioの靴下は正真正銘の日本製ですが、アパレル製品には様々な加工があり、何をもって原産国とするかについては、意外と難しい面があります。「アパレル業界における原産国表示マニュアル」において、靴下の原産国決定の工程は、編立と定義されています*2