ATAカルネ*1を使用すると通関手続きが簡単になります。免税のための面倒な申告・書類の準備が不要になるのです。
2012年にドイツ・フランクフルト空港税関で日本人音楽家が持ち込もうとした楽器の申告漏れを指摘され差押えられる事件が起きました。これを受けて、日本音楽財団においては貸与楽器と共に外国へ渡航する場合、ATAカルネを使用して通関手続きを行うことを義務づけています。
ATAカルネの概要や発給方法
カルネ | 一般社団法人 日本商事仲裁協会 をご覧ください。
通関するうえでの5つの注意点
ATAカルネの発給を受けた場合でも、正しく使用しないと通関トラブルになるうえ、最悪の場合は免税措置が受けられません。
- 総合物品表
カルネの発給申請時の注意点ですが、総合物品表には英文品名に加えて、型番やシリアル番号がある場合は必ず記載します。物品を特定できるようにする必要があるのです。 - 有効期限
カルネの発給から1年以内に物品を持ち帰らなければいけません。条約による決まりのため、延長も認められません。 - 署名
カルネ表紙の署名欄に必ず名義人(Holder)が署名します。名義人の署名がないと通関できません。
各証書の署名欄には名義人(Holder)または使用者(Represented By)が署名します。発給申請時、使用者欄に荷受人、通関業者等を記載しておくのがおすすめです。カルネに名義人、使用者として記載されていない者が通関する場合には、名義人からの委任状が必要になります。タイ、中国など委任状の使用が難しい国もあるようです。 - 国別の注意事項
国特有の注意点があるかどうかを発給申請前に確認しておきましょう。カルネは便利ですが、税関のフリーパスになるわけではありません。カルネ加盟国と使用状況 | 一般社団法人 日本商事仲裁協会
また、通常の申告と同様に輸出入規制の対象となる物品には、ライセンス等の添付が必要になります。 - その他
通関業者にカルネによる通関を依頼する場合で、署名方法など少しでも不安があれば事前に相談してみてください。手戻りを防ぐことができます。
eATAカルネ(電子カルネ)プロジェクト
カルネは紙の書類なので、受け渡しが煩わしいですが、将来電子化されていくことになるでしょう。海外でeATAカルネ プロジェクトが進んでいます。実証実験がおわり、WCO: World Customs Organization の承認も得られているようです。
*1:ATAカルネとは、一時輸入国で使用できる通関手帳であり、輸入税等の支払いや保証金の提供が不要となる支払保証書です。定められた用途(展示会、職業用具、商品見本)で使用後、カルネの有効期限までに日本へ戻す物品について、発給申請することができます。